2020年、世界を突如襲った新型コロナウイルス感染症のパンデミック。3密(密集・密接・密閉)を避け、ソーシャルディスタンスを確保する、こまめな手洗いと消毒を欠かさないという新しい生活様式がすっかり定着してきました。外出自粛や営業自粛、海外ではロックダウン(都市封鎖)といった思い切った行動制限をかける国もありました。人や物の動きが止まることにより、経済活動は必然的に縮小し、日本でも一時期は街や観光地から人気(ひとけ)が無くなる事態に。そこで、政府や自治体は企業や個人事業主への影響を最低限に抑え込むための様々な助成金や支援・補助が打ち出されました。企業には、新しい生活様式、新しい働き方への対応が求められ、テレワークの浸透やオフィス・工場の無人化・省人化が進んでいます。2021年 東京オリンピック開催に向けて2020年の10月頃から、コロナ期間中の様々な統計データが、政府・民間から次々と発表されました。各種の経済指標だけでなく、勤務時間や家事・育児にかける時間の変化、生活スタイルや消費行動など、個別データを出すまでもなく明らかに昨年までとは変わった世の中を表すデータの数々です。新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が開発されたとしても、いつまた新しい感染症が現れるかわかりません。事実、21世紀になってからの20年でSARS(重症急性呼吸器症候群 Severe Acute Respiratory Syndrome)、MERS(中東呼吸器症候群 Middle East Respiratory Syndrome)、そして今回のCOVID-19と主なものだけでも新型のコロナウイルス感染症が3回も発生しています。新しい生活様式が普通の生活様式となり、新しい働き方は更に進化し、これまでの生活や働き方に戻ることはないと考えた方が無難でしょう。2021年に東京オリンピックが無事に開催されるとしても、日本経済への影響は一時的・限定的なものに留まる可能性は高いと考えた方が良さそうです。Go Toキャンペーンは再開してもいずれ終了コロナ禍で大きな打撃を受けた旅行業や飲食業を支援するためにスタートしたGo To キャンペーン。Go To トラベルに続いてGo To Eatキャンペーンがスタートし、続いてGo To 商店街やGo To イベントもスタートしました。メディアも連日Go To キャンペーンについて報道し生活者の消費意欲をかき立て、観光地や飲食店、商店街は賑わいを取り戻したところもありました。しかし、Go To キャンペーンの報道に熱が入るほど本来備えるべきリスクを見えなくしてしまいます。リスクの1つは、そのGo To キャンペーンの終了。キャンペーンは永久に続くのではなく、2021年3月には終了する予定でした。キャンペーンが終了した途端、財布の紐を固くして再び消費が低迷する可能性もあります。しかし、終了を迎える前に第3波の急激な感染拡大により、Go To キャンペーンは停止に追い込まれました。キャンペーンの対象業界にとっては、このキャンペーンは消費増税前の駆け込み消費のような状態。消費税の3%や2%の増税に比べれば、Go To キャンペーンのお得度は比べものにならないインパクトです。それだけに急なキャンペーンの停止は大きな混乱を巻き起こしました。第3波が終息すれば再びGo To キャンペーンは再開するでしょうが、いずれは終了します。そして終了後の反動も大きいはずです。このキャンペーンでいかに顧客をファンとして根付かせるかが重要になります。消費税総額表示の義務化2つ目は、2021年4月から予定されている総額表示への対応です。本来、消費税法では一般消費者向けの販売・サービス提供の金額表示は税込の総額表示が義務づけられています。ところが、消費税を2014年4月に8%に、1年半後の2016年10月に10%への増税が決まった際に、短期間に2度の増税で値札の付け替えなど煩雑な作業とコストの発生を考慮して、特例措置として税別表示を期間限定で認めていました。増税延期に伴い特例措置も延長されましたが、その期間も終了し、2021年4月には総額表示に一本化されます。Go To キャンペーンの終了と同時に総額表示への対応を迫られることになります。No.6902 「総額表示」の義務付け:国税庁(2021年1月20日閲覧)一部業界では再延期の要望を出していますが、遅かれ早かれ対応しなければならないことですし、対応が遅れた店舗では支払時にお客様との間でトラブルに発展することも想定されます。店頭表示だけでなく、ネット販売でも同様です。商品登録や表示金額のチェックだけでなく、送料の金額や送料無料になる時の金額表示など、細かなシステムチェックなど早めに取りかかることをオススメします。