いざBCP策定に取りかかろうとすると、多くの人はまずBCPについて色々調べ、基礎的な情報・知識を頭に入れてからと考えるものです。全て自社内で完結するにしてもコンサルタントや外部の力を借りるにしても、最低限の知識が無いと策定の目的や進め方の説明もできないしうまくコミュニケーションも取れません。そこで、BCPに関する本を参考にしようと本探しをする方も多いでしょうが、amazonで「BCP」で本を検索すると756冊もあります。これを1冊1冊開いて内容を確認し、レビューを読んで絞り込むのは大変な作業です。BCP策定をスタートする前に力尽きてしまいそうです。それならネットで検索して、とGoogleで「BCP」を検索すると約 1,280,000,000 件!これから複数のワードを組み合わせて絞り込み検索をしても、なかなか求めている情報にたどり着けるかも怪しいですし、企業の営業前提のコンテンツだとそもそもその内容が信頼できるものかも疑わしかったりします。そこで、官公庁を中心に、BCP策定ガイドラインやチェックリストを集めてみました。 ガイドライン◎ 事業継続ガイドライン -あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応- (平成25年8月改定) 内閣府 防災担当(pdf)まず最初にあげられるのは、内閣府が作成した事業継続ガイドラインでしょう。ここに掲載されている図は、多くのサイトでも引用されています。このガイドラインの「はじめに」には、どうしてBCPが必要なのか、誰が主体となって取り組むべきなのか、などがしっかり書かれています。業種・業態・規模を問わず、全ての企業・組織を対象として作られていますので、どれか一つという事なら、まずはこのガイドラインに目を通すことをオススメします。用語の解説やチェックリストもついています。 ◎ 中小企業BCP策定運用指針-中小企業庁中小企業のBCP策定を支援するために、懇切丁寧に作られたサイトです(デザインは垢抜けないですが)。BCP策定の全体像を俯瞰して説明する「入門コース(pdf)」、以下「基本コース」からはサイトのページを進んでいくほどに段階的に「中級コース」「上級コース」へとステップアップできます。しかも、BCP策定にあたってのテンプレートとなる様式類がダウンロードできます。様式類のダウンロード更に、「策定を支援するコンテンツ」では、参考になる各種ガイドブックや手引きもダウンロードできるようになっています。中小企業だけでなく、事業所単位や異なる事業部ごとにBCPを策定する場合は、このテンプレートをカスタマイズしたり組み合わせて活用することで、作業はスムーズに進むかもしれません。◎ 事業継続計画策定ガイドライン - 経済産業省(pdf)PDFのタイトルは「企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会 報告書 参考資料 事業継続計画策定ガイドライン」となっています。報告書の参考資料として作成された物でしょうか。情報システム部門のBCPガイドラインというべきものです。ケーススタディでは「大規模なシステム障害への対応」「セキュリティインシデントへの対応」「情報漏えい、データ改ざんへの対応」が紹介されています。情報システム部門やIT系企業は目を通しておくことをオススメします。◎ 自然災害発生時の業務継続ガイドライン - 厚生労働省介護施設・事業所編(pdf)障害福祉サービス事業所等編(pdf)◎ 新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン- 厚生労働省(pdf)厚生労働省のBCPガイドラインは介護・福祉施設や医療関連施設向けの物となっています。ホテルや宿泊施設、飲食業など施設内にお客様を招き入れる事業でも参考になるでしょう。 BCP策定に伴う補助・助成、融資 BCP策定に伴い、施設の耐震化や消防用設備やデータバックアップサーバの整備など、防災のための施設等の整備が必要な企業に対して、補助や助成・融資制度が各種用意されています。 ◎ BCP実践促進助成金 公益財団法人 東京都中小企業振興公社策定されたBCPを実践するために必要な設備・物品の購入、設置に係る費用の1/2(小規模企業者は助成対象経費の2/3)以内を助成。同様の助成金制度は、他の道府県でも用意されていますので、各自治体のウェブサイトなどでチェックしてみてください。 ◎ 社会環境対応施設整備資金融資制度(BCP融資)中小企業等経営強化法に基づく、「事業継続力強化計画」または「連携事業継続力強化計画」の認定を受けている中小企業者を対象に、日本政策金融公庫(沖縄県は沖縄振興開発金融公庫)から7億2,000万円を限度に融資が受けられます。 主な物をピックアップしてみましたが、これらに目を通すだけでも膨大な情報量ですが、はじめの一歩として自社の参考になりそうなガイドラインをまず一つダウンロードして、じっくりと取り組んでみてください。