近年、降雨に関する情報として線状降水帯による豪雨ということがよく聞かれるようになりました。これは、積乱雲が列をなし、線状に伸びた地域に大雨を降らせる線状降水帯が、2014年の広島県での集中豪雨をもたらしたことから注目されるようになりました。令和3年6月17日から、短時間で集中的な豪雨をもたらす「線状降水帯」の発生が予測される場合は、線状降水帯の情報が気象庁から「顕著な大雨に関する気象情報」として発表されるようになりました。線状降水帯とは線状降水帯は発生期では、暖かく湿った空気が集まり上昇気流が生まれ、上昇気流により積乱雲が発生し発達していきます。積乱雲は、発達しながら上空風により風下側に流されます。発達しながら風下に流された積乱雲から冷気が周囲に広がり、積乱雲の風上側で温かい空気と冷たい空気がぶつかり上昇気流が発生して、新たな積乱雲が発生します。こうして発達した積乱雲の風上側で次々と積乱雲が発生します。発達した積乱雲が上空の風に流されると次の積乱雲が発生して、同じような場所を次々と通過するため、レーダーで雨雲を見ると線状になって見えることになります。このような現象は「バックビルディング型」と呼ばれています。線状となった雨雲が同じところを次々と通過していくため雨が降り続き、記録的な大雨となることがあります。気象庁による線状降水帯の例と代表的なメカニズムは以下の図(気象庁 線状降水帯に関する各種情報 より)になります。そして、気象庁では線状降水帯を「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域」のように定義しています。線状降雨帯に関する「顕著な大雨に関する気象情報」とは線状降雨帯について、気象庁では「顕著な大雨に関する気象情報」として、大雨による災害発生の危険度が急激に高まっている中で、線状の降水帯によって非常に激しい降雨が同じ場所で降り続く状況を「線状降水帯」という言葉を使って説明する情報としています。この情報は警戒レベル相当情報を補う情報になります。「顕著な大雨に関する気象情報」の発表基準を満たすような線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に、半日程度前から呼びかけをしています。 顕著な大雨に関する気象情報の発表基準と発表情報例顕著な大雨に関する気象情報の発表基準は以下の1~4の条件を全て満たした場合に発表されます。解析雨量(5kmメッシュ)において前3時間積算降水量が100mm以上の分布域の面積が500平方km以上1.の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)1.の領域内の前3時間積算降水量最大値が150mm以上1.の領域内の土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において土砂災害警戒情報の基準を実況で超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)又は洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を実況で超過これは、いいかえれば、一定の強さ以上の雨の領域を持ち、形状が線状であり、土砂災害警戒情報や洪水警報の基準を大幅に超過した状態ということになります。そして、顕著な大雨に関する情報は、線状降水帯による半日程度前からの呼びかけとして気象台より次のように情報が出されます。線状降水帯による大雨の正確な予測は難しく、この呼びかけを行っても必ずしも線状降水帯が発生するわけではありませんが、線状降水帯が発生しなくても大雨となる可能性が高い状況といえます。そのため線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけがあったときは、地元市町村が発令する避難情報や防災気象情報と併せて活用し、自ら避難の判断をすること、そして自分の会社が被災した場合に備えて、事業継続について準備をすることが重要になります。また、線状降水帯が発生した地域の隣接地域にも、発達した雨雲が移動してきたり、雨雲の範囲が広がったりする可能性があるため、自身が住んでいる地域に雨が降っていなくとも、「顕著な大雨に関する情報」の発表や線状降水帯の動向に注意をしておく必要があると言えます。このような情報は、大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性があることを示しているため、危険に対する心構えを高める必要があることを目的としています。大雨災害に対する危機感を早めにもつことが重要になります。この情報が発表されたときには、危機感を高めて、避難のための準備をする必要があります。その準備は、ハザードマップで住んでいるところが危険かどうかを確認しましょう。自宅などが危険な場所にある場合は、近くの避難場所を確認し経路なども確認しておきましょう。ラジオ、懐中電灯、自分が飲んでいる薬等の非常用品などの確認をしておくことも重要です。テレビやラジオ、インターネットなどで最新の気象情報を確認しましょう。等になります。実施をするようにしましょう。