新聞を読まなくてもニュースが流れてくる時代日々、世界中で起こる事件や事故。それを伝える報道は膨大な情報量になります。かつてマスメディア4媒体と言われていた頃は、新聞・ラジオ・テレビ・雑誌のどれも締め切りや発行・放送のタイミングが限られていて、報道の空白時間帯が存在しました。即時性を発揮するテレビやラジオでさえも、放送時間外にニュースを流すのは大地震や大規模な災害の時に限られます。しかし、今はネットニュースが24時間365日リアルタイムな情報発信をします。国内のニュースだけでも全国版からローカルなもの、政治経済からスポーツや文化芸能、様々なジャンルのものが常に流れてきます。利用者が望むニュースばかりが届くいまやスマートフォンを持たないのは、低年齢の子供とITに疎い高齢者を除けば極少数です。ネットに繋がる機器はビジネス・コミュニケーションツールとしてだけでなく、情報源としても重要です。Windows11のPCでは、ブラウザを開かなくてもウィジェットにニュースが流れてきます。スマホにYahoo!、LINE、Googleといったポータルサイトのアプリをダウンロードしていれば、Yahoo!ニュースやLINE NEWSといったポータル内のニュースから、Googleアプリでもオススメのニュースが流れてきます。SmartNewsやNewsPicks、グノシーなど特徴のあるニュースアプリもたくさんあります。加えて、NHKをはじめとする放送局や各新聞社がそれぞれニュースアプリをリリースしていますので、誰のスマホにもこれらのニュースアプリがいくつかダウンロードされているはずです。ネットニュースアプリはダウンロードしてスタートする際に、自分が興味あることや知りたいニュース分野などを登録するので、利用者によって流れてくるニュースがそれぞれ変わってきます。Googleなどは検索の傾向や興味関心を分析して、利用者が興味ありそうなニュースだけを流してきます。今後、ニュースサイトやブラウザにはAIが搭載され、利用者それぞれの興味関心事を学習し、興味の無いカテゴリーのニュースなどはほとんど目にすることがなくなるのでしょう。政治家のスキャンダルと芸能ニュースばかりそんななか、自治体の首長や議員などの政治家のハラスメントや不祥事の報道が絶えません。その内容やネタ元、最初の報道が週刊誌だったりネットニュースだったりで、政治部よりも社会部ネタとしての扱いが多くなっています。そのため、政治に関心が無い様な人でもお昼のワイドショーやスマホに流れてくるニュースで知ることとなり、芸能ニュース並みに誰もが知る話題となってしまいます。政治家などの公人、芸能人など準公人と位置づけられる人の多くは顔や名前を広く知られ、知ってもらうことで社会への影響力や存在価値を高めることになるので、私人としての極プライベートな行動を除いてその言動については公開され、同時に常に衆目の監視に晒されています。政治家、芸能人の不適切発言やSNSでのコメントが問題になることも珍しくありません。かつては地方の首長や議員のパワハラやセクハラが横行していても、閉じた地域内での力関係でなかなか表に出ることもありませんでした。しかし今は、不適切な言動などはすぐにSNSに晒され、告発サイト・報道機関の相談窓口などに情報が寄せられます。かつてならローカルなニュースで終わっていたものも全国ニュースで報じられることは珍しくありません。そういう意味では、地方の政治家であっても芸能人並みに注目され、何かあれば衆人の前ですぐに糾弾される立場になってしまいました。常に言動が監視されている準公人としての経営者文春砲をはじめとする週刊誌などが政治家や有名人を実名で記事にするのは、「公共の利害に及ぼす影響が大きい公人に対する、事実に基づいた批判は国民の知る権利に資するため、名誉毀損の除外対象とする」判例などを元にしています。公人に準じる準公人(あるいは見なし公人)には、芸能人や著名人だけでなく、社会的に影響力を持つ経営者なども含まれるとされます。前回のコラムで触れたウエルシアHD松本社長の不倫について報じた週刊新潮でも、これをあくまでも個人の問題と主張することも可能なのかもしれない。が、言うまでもなくドラッグストア最大手である同社は消費者の健康、時に生命にも深く関わる存在である。として、社長の立場を準公人として報じています。この社会的に影響力のある経営者などの準公人の範囲はどう考えれば良いのでしょう?曖昧ではありますが、上場企業や業界・地域内でのTOPなど影響力がある企業の経営者は、準公人と認識した方が良さそうです。会社名・所属組織が報じられるのは?企業不祥事や事件・事故に関与した場合には、その企業名と共に経営責任者の名前が公表されます。企業が出すリリースにも必ず代表者名は入っていますから隠すものではありません。しかし、事件や事故が報道される際には、被害者・加害者の実名や職業・所属組織などが報じられる場合と、○○歳の男性会社員とだけ報じられる場合があります。この違いは何でしょう?まず、事件や事故が企業活動中のもの、業務として動いていた時に起こった場合は、(営業移動中などに起こした単純な交通事故などを除き)多くの場合は企業名や所属組織が報じられます。2018年の事になりますが、日本ハムの社長が突然辞任しました。その理由は前年の10月、執行役員が海外出張に出かける際に航空会社のラウンジでセクハラ発言をし、その際に社長も同席していて止めなかったからというもの。航空会社からの報告を受けて内部調査をして明らかになり、後に「一身上の都合」として辞任を発表したのですが、それを週刊新潮がスクープしたのです。準公人としての社長ではなく、業務時間中の部下に対しての監督責任が問われ、業務中の不祥事として報道されたのです。プライベートな時間、私人としての行動で起こした事件や事故は基本的に会社や所属組織とは無関係として「会社員」など職業のみ公開されることがほとんどですが、その事件や事故の原因にセクハラやパワハラなどが絡んでいると判明すると、後に公表されることがあります。また、SNSなどで話題になるような事件や事故の場合には、関係者の発言が物議を醸して寝た子を起こすことになり、会社や所属組織まで晒され飛び火することもあります。そうなるとネットニュースの美味しいネタになってしまいます。自社の従業員や取引先、その家族が事件や事故の当事者になったり巻き込まれたりした時には、まず事実関係をしっかり把握することです。プライベートな事件や事故に関してメディアからの問い合わせが有った場合には、正しい情報と事実のみ伝えます。しかし、事実を隠したり誤った誘導をしたりすると、後で必ず手痛いしっぺ返しにあいます。どんなときにも、嘘や隠蔽は御法度です。関連記事ニュースでよく耳にする「事件」と「事故」の違いとは