10月でも真夏日、学生は夏服10月19日、東京都心では30℃を超え、過去最も遅い真夏日を記録しました。この日行われた箱根駅伝予選会では、東海大学の選手がゴール10m前で倒れて棄権、他熱中症の症状で9名が途中棄権しています。季節外れの暑さが影響したとみられています。前日の18日には福岡市では31℃を記録するなど、全国105地点で真夏日を観測(ウェザーニュース発表)するなど、10月とは思えない暑さが続きました。昭和の時代、制服が決まっている中学高校などでは夏服から冬服に切り替えるのは10月1日としている学校が一般的でした。しかし、街で見かける学生の制服を見ると、10月下旬になっても夏服のようです。いまどき、制服がある学校の衣替えってどうなっているのだろう?と検索すると、“暑さに対応、着たいものを着る・・・ いまどきの「制服衣替え」事情を探る”という中日新聞の記事を見つけました。中部6県の教育委員会へ取材してまとめた記事ですが、酷暑やコロナ禍、性的少数者(LGBTなど)への配慮などを背景に「かつては6月や10月に当たり前のように見られた衣替えは、多くの学校で消えつつあるようだ」とあります。10月に入ってもこれだけ暑い日が続くと冬服を着て通学したら熱中症になりかねません。衣替えの時期や移行期間も、各校で柔軟に対応しているようです。 地球温暖化から地球沸騰の時代に日本では暑さに関する様々な記録が今年塗り替えられましたが、振り返ると昨年の2023年も記録的な高温の1年で、世界及び日本の平均気温は統計開始以降最も高くなりました。グテーレス国連事務総長が「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が到来した」と発言したことも話題となり、気象庁のサイトにも「地球沸騰の時代が到来!? ~気象庁の気候変動に関する取り組み~」とする特集ページが設けられました。19世紀を基準とした世界の平均気温の変化や日本・世界の平均気温の偏差グラフを見ると、いずれも右肩上がりで何もしなければ今後も気温は上がり続けるという厳しい予想(というよりも現実)が示されています。異常気象分析検討会会長(東京大学先端科学技術研究センター 教授)中村尚氏のコラムでは、最後に最新の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」評価報告書にも示されるように、温暖化のさらなる顕在化に伴って各地で熱波・豪雨・干魃などの異常天候が深刻化することが懸念される。と指摘されていますが、現実に今年世界各地で大雨による洪水や地滑り、鉄砲水が発生し、サイクロンやハリケーン・台風などは強く大型になり、被害も甚大になっています。日本では九州や四国・紀伊半島に集中していた線状降水帯は、関東や東北でも頻繁に発生するようになり、元日に地震で被災した能登半島でも9月に線状降水帯が発生して再び甚大な被害をもたらしました。平年との比較や過去の常識は通用しなくなっています。来年は今年を更に上回る酷暑や大雨が発生することも想定しなければなりません。酷暑の後は秋を飛ばしてすぐに冬夏のような暑い日が10月になっても続き、秋をほとんど感じないまま冬になる。かつては「暑さ寒さも彼岸まで」と言われ、「September」「9月の雨」「セプテンバーさん」…など9月をテーマにした歌は夏に別れを告げる曲でした。しかし、今となっては9月は8月と変わらない夏です。衣料品店では9月に秋物を店頭に並べても、売れるはずがありません。東京では真夏日となった10月19日でしたが、翌20日には札幌で初雪が降るなど、秋を飛び越えていきなり冬のような寒さに。涼しくなったら着ようと楽しみに秋服を買った人は、袖をとおすことなく冬になってしまった。そういう経験をすると、翌年は秋物を買わなくて良いや、となってしまいます。 気候変動があらゆるビジネスのリスクにあらゆる業種で、昭和~平成の季節感のままビジネスを続けることは、大きなリスクとなります。今年は、台風やゲリラ雷雨で花火大会や野外フェスなど夏のイベント中止が相次ぎました。酷暑や豪雨は直接的な被害もさることながら、間接的に様々な物や事に影響を与えます。海水温の上昇でサンマや鮭、ブリなどの回遊ルートが変わったり、酷暑のために鶏が卵を産まなくなったり野菜や果物の生育も悪くなったり、第一次産業には大きな影響が出ています。農水産物の生産が減少すれば生鮮品の価格は上がり、飲食店ではメニューや価格も変えざるを得なくなります。半導体が足りなくなって自動車や家電などの工業製品の生産に影響が出たように、工場で生産する加工食品や飲料も食材の不足で生産を調製するようなことも出てくるでしょう。結果、販売の現場にも影響が出ます。これだけサプライチェーンが複雑になると、遠く離れた思いもしないところで起こった事象がバタフライエフェクトとしてビジネスに影響を及ぼす事になります。来年以降も今年のような天候が続けば、ただ暑いだけでなく線状降水帯の発生や突然の雷雨など、狭い範囲で突然の災害も発生します。局地的に起こったゲリラ雷雨で道路の冠水や鉄道の運休などが物流を止めたり、雷による局地的な停電が頻発する可能性があります。ビジネスも日常生活も電気無しでは立ち行かない現代。短時間でも局地的でも、停電の影響は小さくありません。場合によっては、ビジネスだけでなく命にも関わります。電力会社の停電情報(東京電力管内であれば、「東京電力パワーグリッド 停電検索」で確認できます)などを見ると、意外にも各地で停電が頻発していることがわかります。来年度の事業・予算計画策定時には激変する気候も考慮を11月は多くの企業で次年度の予算計画やスケジュールを立案するタイミングです。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、このまま来年を迎えることがないよう事業計画やイベントスケジュール、内容などを見直すことをお忘れ無く。地球は沸騰の時代になっているのです。