本当に巨大地震は来るのか?1979年、切迫する東海地震対策地域として静岡県、神奈川県など6県が指定され、地震防災計画も公表されました。地震の予知は可能とのことでした。それから45年が経過し、この間、阪神淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)を経験しましたが、東海地域はどうなっているのでしょう?実は2012年以降、政府は東海・東南海・南海と分けていた想定を見直し、連動型巨大地震(M9クラス)を前提に対策を行うようになっています。本年3月には膨大な被害想定が公表されているので、記憶に残っている方がおられるかもしれません。しかし、現在は地震予知が困難とのことです(えーっ!)。防災対策担当者でさえ、生きている間に巨大地震は起こらないかもしれないと思うのですから、一般の人が余り気にされないのは当たり前です。「本当に来るのか?」と疑われるのは当然のことでしょう。BCPへの関心日本で緊急対応のためのBCP(事業継続計画)が強調され始めたのは、2000年代前半からです。大きな転機となったのは、2004年の新潟県中越地震や2009年の新型インフルエンザ(H1N1型)の流行。さらに、BCPの重要性を決定づけたのは、2011年の東日本大震災(死者約2万人)でした。上図は2024年5月に帝国データバンクが約2万社を対象に実施した「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」の結果です。現時点で「策定している」と回答した企業は19.8%ですから低調と言って良いでしょう。「策定のコストが高すぎる」「策定しても役に立つかどうか分からない」「社員への普及・啓発が難しい」「他にやることが沢山ある」など様々な要因が推測されます。実際、BCPを策定したものの、「分厚くて誰も読まない」「緊急時に参照できるものではない」「メンテナンスが難しい」などの理由から死に体になっているものも沢山あるようです。帝国データバンクは、2019年から同調査を実施しており、策定意向は上昇しているとしていますが、顕著な傾向にはなっていないのが実態です。意外と身近な危機では危機管理にどう取り組めば良いのか?それは絶対的に最重要視して欲しいと言わざるを得ません。阪神淡路大震災や東日本大震災の記憶はまだ生々しいと思います。過去数年間を振り返っても、2020年7月豪雨、2021年熱海市伊豆山土石流、2022年福島沖地震、2024年能登半島地震、2025年山林火災など毎年の様に大きな災害が身近で発生しています。南海トラフ地震も、政府の地震調査委員会は、今後20年以内に起きる確率を「70~80%」と発表しています。発生する可能性は十分にあります。首都直下地震の可能性も否定はできません。さらには地球温暖化による気候変動で、線状降水帯という積乱雲の帯が頻繁に出現するようになっています。現行の都市計画は時間雨量50ミリに対応するように設計されていますので、時間雨量80ミリを超える線状降水帯が出現すると雨水を排出できずに洪水(内水氾濫)に至ります。気候変動は豪雪に繋がる場合もあり、雪に弱い東京等で積雪すると交通機関が機能せず、大量の帰宅困難者が生ずる場合もあります。また、戦後に建設した様々な都市インフラはリノベーションの時期を迎えており、道路の陥没や上水道の破裂等いろんなことが発生しています。安全なはずの街にも危険が忍び寄っているのです。危機管理マインドを持つ会社の経営者であれば、組織・従業員を抱えているのですから、地震、洪水、事故、武力攻撃など想定外の危機に対応し得る危機管理マインドを持って頂きたい。私は国連で3年間、緊急対応(主に戦争・紛争)をしていたので、基本的な初動対応は身に付いていると思っています。第一に職員の安全確認・安全確保、第二に当面の対処方針の連絡、第三に必需物資の確保です。地震の場合、発災から最初の72時間(人が飲まず食わずで生きられる時間)が一つの節目になりますが、事故や紛争でも同じような状況で、最初の3日を過ぎれば、徐々に対応体制が整って来るというのが私の経験です。従って、経営者の方々には、先ずは緊急時でも稼働する連絡システム(メッシュネットワーク型など)の導入をお願いしたい。連絡さえできれば安全確保や対処方針も相談する事が可能です。また、会社には3日分の必需品の備蓄が必要でしょう。さらに余裕、関心のある方は、BCPの策定に挑戦してみて下さい。幹部会で素早く作るのではなく、時間をかけ、できるだけ沢山の職員を巻き込んで策定することがポイントです。策定過程自体が職員への重要なトレーニングになりますからね。平和ボケの日本で危機管理マインドを維持できるかどうか。皆様の奮闘に期待します。