学歴詐称を指摘された伊東市長が巻き起こす混乱静岡県伊東市の田久保真紀市長が、東洋大学法学部卒業は学歴詐称ではないかとの疑惑で追及されています。事の発端は、伊東市の市議会議員に差出人不明の文書が郵送されてきて、詐称を指摘されたのがきっかけです。その後、除籍が判明したが公職選挙法には違反していないと記者会見をしたり、卒業証書(らしき物)をチラ見せしたりと真摯な対応が見られず、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委)も設置されました。卒業証書の提出を拒否し、百条委員会への出席も拒む田久保市長は、7月末日をもって辞職して再度市長選に出馬する意向を示していました。その7月31日の午後8時から記者会見を開いたので辞職を発表するのかと思いきや、辞職を撤回し市長職に留まる意向を表明したのです。これにはマスコミも市議会も、市民もビックリ。学歴詐称疑惑に端を発した混乱は、まだまだ伊東市民をイライラさせそうです。小池都知事や水谷一平氏にも学歴詐称疑惑が伊東市長の卒業証書を巡るニュースを見ながら、ふと自分のことを考えました。そういえば卒業証書はもらったはずだけど、その後どうしたんだろう?同じようなことを思った人は多いのではないでしょうか?私の場合は卒業してそのまま上京したので実家にあったのかもしれません。しかし、その実家も昨年取り壊してしまったし…… 今、卒業証書を求められたらどうすればいいのでしょう?卒業した九州芸術工科大学は九州大学と統合して、大学そのものがなくなっています。九大に問い合わせる?今後、大学の統廃合は続くでしょうから同じような事は起こりそうです。学歴や経歴の詐称疑惑はこれまでも幾度となく報じられてきました。小池百合子東京都知事のカイロ大学卒業についても度々疑義を唱えられるも、なんとなくうやむやになった感がありますし、大谷選手の通訳だった水原氏もカリフォルニア大学リバーサイド校を卒業したとされていましたが、逮捕後に学歴詐称が明らかになりました。私たちの世代ではショーンK氏の事も思い出されます。 学歴が問われる時代はいつまで続く?中国や韓国のような超学歴社会は特別ですが、これからは学歴よりも専門スキルや人そのものの魅力が重要視されます。AIが進化すれば頭でっかちなだけの高学歴な人材は必要とされなくなるでしょう。知識よりも知恵が求められます。伊東市長の学歴詐称の報道に対して堀江貴文氏がXに、「Fラン私大の学歴詐称なんかどーでもいいだろ」と投稿して物議を醸しました。堀江氏は東大卒ですから、彼からすればFランなのかもしれませんが、確かに市長という職責に学歴が必要なわけではありません。学歴などどうでもいいことです。求められるのは市長としての手腕でありリーダーシップ、政治家としてのスキルです。市民も候補者の学歴をみて投票しているわけではないはずです。私も東京に出て暫くした頃、何のきっかけで知り合ったのか意気投合し、休日には一緒に旅行をする程の仲になった友人がいました。東大卒だと聞いていたのですが、結婚披露宴に招待された際の新郎の紹介で、卒業した大学名が違ったので驚いた事があります。もともと東大卒だから仲良くしていた訳でもないですし、その後の付き合いも変わりません。最初に会ったとき(多分お酒を飲んでいた)、ノリで自分を盛ってみただけかもしれません。 嘘を書くと、それに縛られてしまう最初の履歴書に嘘を書くと、そこから学歴詐称が始まります。1度書いた偽の学歴を訂正することができず、そのまま嘘の学歴を続けざるを得なくなります。田久保市長の場合は市議選に出馬した際に公表した学歴が詐称のスタートでしょうか。水原氏だって、通訳としての仕事に学歴が必要だったわけではないでしょうが、日本ハムファイターズの球団通訳応募時に履歴書に嘘を書いて採用され、その学歴のままエンゼルス、そしてドジャースに移ってしまいました。私の友人の場合のように、どこかでリセットする機会があれば良いのですが、物事がうまく運んでいるとそれができないまま時だけが過ぎてしまいます。そもそも嘘はいけないことですが、今更嘘でしたとは言えず、何かのきっかけで詐称が明るみに出ると大騒ぎになるというのが世間を騒がすパターンです。 転職の際に書く経歴書は盛りがち転職の際には、経歴を「盛る」こともあるでしょう。在籍は事実であっても、実績として書かれたものは自分の物ではなく別人やチームの功績ということはよくある話です。ウィキペディアによると、水原氏は経歴でも詐称していた疑惑があります。有料スポーツ専門サイトのジ・アスレチックは、エンゼルスのメディアガイドには、「水原氏はレッドソックス後の2012年のスプリングトレーニング中、ヤンキースで岡島の通訳を続けた」とあり、後に経歴について疑問を投げかけていた。また、レッドソックス時代に岡島秀樹の通訳を務めたと言われていたが、レッドソックスは2024年3月22日に「ミズハラがいかなる形でも球団のために働いていたことはない」と否定する声明を発表した。水原氏の通訳としての評価は高かったので重ね重ね残念ですが、そもそも学歴や経歴を詐称する様な人だったから、恩人でもある大谷選手のお金にまで手を出したのかもしれません。履歴書や経歴書など、記録に残る書面に嘘を書く人は、その時点で悪いことだと意識しています。そのような人を信用できるかというと甚だ疑問ですが、そもそも偽っているかどうかがわかりません。 契約前に最終確認・誓約書の提出などを求める履歴書や経歴書に詐称はないか?どうやって調べれば良いでしょう?心配でもいちいち調査するのは大変です。バイトテロが立て続けに起きて問題になったときに、風評被害や実損を請求することを表明した企業があります。その後、採用時にSNSへの書き込みなどで損害を与えた場合には損害賠償請求をすることもある旨の誓約書にサインをさせる流れができました。雇用契約や業務委託契約等を結ぶ際に、提出した履歴書・経歴書に嘘偽りは無いということを再度確認する必要があります。新卒採用の時には、卒業証書(または卒業見込み証明)と成績証明書の提出を求めるところもありますが、中途採用ではそのようなこともないでしょう。業務を遂行する上で学歴が問題にならないのであれば、その場で修正すれば良いだけのことです。バイトテロ防止のように、誓約書にサインさせることが抑止力になるのかもしれません。