にわかに注目を集めるオンラインカジノ今年、オンラインカジノ(オンカジ)を利用したとして、吉本の芸人やプロスポーツ選手、フジテレビのアナウンサーなど多くの有名人が逮捕、書類送検されるなどして話題になりました。多くは、先輩や友人から勧められて始めたと供述しています。違法性については認識していないか、オンラインゲームの感覚で意識せずに始めたようです。オンラインカジノは犯罪です。6月18日には、オンラインカジノの規制を強化するための改正法が、参議院本会議で可決・成立しました。世の中の人の多くがオンラインカジノの存在を知ったのは、2022年の山口県阿武町のコロナ給付金4630万円誤送金問題だったのではないでしょうか。容疑者は誤って入金されたと知りながらオンラインカジノに賭けすってしまったので返せないというのです。ミスをした町と、そのお金に手を付けた容疑者双方への非難とともに、誤入金からわずか数日で4630万円ものお金を溶かしてしまうオンラインカジノの存在に注目が集まりました。お金については驚くことに、容疑者がお金を移していた決済代行会社から9割以上となる4300万円を回収することができました。ニュースではお金の行方と共に、オンラインカジノの仕組みや違法性についても盛んに取り上げられましたが、容疑者は賭博罪ではなく電子計算機使用詐欺罪で起訴されました。更に昨年、長く大谷翔平選手の専属通訳として親しまれていた水原一平氏が、大谷選手の口座からオンラインカジノの掛け金1700万ドル近くを不正に送金したなどとして、銀行詐欺と嘘の納税申告をした罪で昨年5月に起訴されました。この逮捕には世界中が驚きました。アメリカではオンラインカジノは違法ではないので日本の賭博罪は適用されません。この時にもオンラインカジノが話題にはなりましたが、罪に問われたのはそこではありませんでした。皮肉なことに、阿武町の誤送金や水原元通訳の裁判の過程においてオンラインカジノの存在がクローズアップされたことにより、多くの人が興味を持つきっかけになってしまいました。 オンカジの違法性が浸透していないもどかしさGoogleで「オンカジ」「オンラインカジノ」で検索すると、さすがに自主規制しているのか、検索連動広告は表示されません。しかし、サイト運営者はSEOを駆使して上位表示させているのでしょう、注意喚起や違法性を伝える記事よりも「オススメランキング」や「完全ガイド」、「安心安全を謳うサイト」の方が目に付きます。世の中で「話題になっているから」、と興味本位で検索し、何も考えずにサイトを開き、甘い勧誘に取り込まれてアカウントの開設をしてしまう人は多そうです。オンラインカジノが蔓延、深刻化している状況をうけ、警察庁は昨年7月~今年1月に初の実態調査を実施しました。国内の15~79歳の約2万7千人を対象にサイトの利用経験を尋ねた上で、経験者500人と未経験者6500人を抽出して回答内容を分析、結果を公表しました。国内での利用経験者は推計で約337万人、賭けの総額は年間約1兆2423億円にのぼることがわかりました。しかもサイトに接続した人の75.2%が金を賭ける有料版に進んでいるのです。オンカジを始めると、4人のうち3人はお金を賭ける=賭博罪に問われる可能性があるということです。更には、サイト利用経験者の59.6%が「ギャンブル依存症」と自覚していたというのですから驚きです。 自覚しているのに止められないのが依存症水原元通訳は、犯行に至ったのは自分のギャンブル依存症(という病気)のためだと訴えていました。検察は犯行の動機は「強欲」によるものだと否定しましたが、最初の逮捕時にはギャンブル依存症の治療プログラムを受けることを条件に保釈されています。ギャンブル依存症であったことは間違いないでしょう。先の警察庁のアンケート調査でも、オンカジ経験者の約6割はギャンブル依存症と自覚しています。オンカジの怖さは、違法であるだけでなく依存症に陥りやすいことなのです。水原元通訳の不正詐取は桁外れですが、ギャンブル依存症になると家族や親戚だけでなく友人や消費者金融からも借金を繰り返し、どうにもならなくなって会社の金を横領するなどの犯罪に至ることもあります。中でもオンラインカジノは手軽に始められ、いつでもどこでもできてしまうために、あっという間に負けが大きく膨らみ、それを取り返そうと更に深みにはまっていくのです。日本テレビ「news zero」では、オンラインカジノ利用者の借金額は平均で2000万円を超えると報じていました。急にオンラインカジノが注目されていますが、他のギャンブルでも同様に依存症になる人は多くいます。かつては主婦のパチンコ依存症が注目されたこともありました。厚生労働省は、5月14日~20日を「ギャンブル依存症問題啓発週間」としてキャンペーンを実施しています。「依存症の理解を深めるための普及啓発事業 特設サイト」も開設しています。このサイトでは、依存症について世界保健機関(WHO)は「精神に作用する化学物質の摂取や、快感・高揚感を伴う行為を繰り返し行った結果、さらに刺激を求める抑えがたい渇望が起こり、その刺激を追求する行為が第一優先となり、刺激がないと精神的・身体的に不快な症状を引き起こす状態」と定義していると紹介しています。ギャンブルに限らずアルコール、薬物など特定のものに依存するようになるとやめたくてもやめられず、家族や周辺、所属組織にまで迷惑をかけるようになります。推しも過ぎれば依存症となりかねません。社会的な問題を引き起こす寸前の人が周囲にいるかもしれません。依存症は本人の意志でやめることが難しい「病気」です。しかも本人は依存症であることを認めようとはしません。同僚や部下に異変を感じたら、家族とも連携を取り早めに治療や支援につなげていくことが必要です。オンカジ経験者は推定で約337万人。日本の労働者人口が約7000万人ですから5%弱、20人に一人です。同僚や部下の中にはオンカジにはまっている人がいるかもしれません。手をこまねいていると、家族だけでなく企業や組織に大きなダメージを与える事態にもなりかねませんよ。